なぜ昔の日本企業は組織硬直化が進行したのに、活気があったのですか

組織硬直化の話をすると、高度経済成長期は長かったのに、その間、どうして組織硬直化は進展しなったのか、と疑問を持つ人がいます。
組織硬直化は活気があった時に病状が進行しています。組織硬直化は成功体験によって、行動様式の硬直化が深く進行していても、周りの環境に適合していて、行動様式が機能していれば、企業経営には問題はありません。

「追いつけ追い越せ行動様式」は、外部から変化を多く取り込んでいましたので、企業組織の変化対応力は高く、組織の能力は高い状態でした。また、取り込んだ内容も改善・改良する余地も多く残されていました。企業が提供する価値をどんどん魅力的にするための仕事が多く存在しました。
価値を魅力的にするための仕事が多く存在すれば、当然、利益も増加して、企業には活気がもたらされました。

忘れてはならないことは、多くの日本企業が若者に予算の範囲内でやりたいことをやらせていたことです。企業組織は、「追いつけ追い越せ行動様式」で硬直化してしまうと、情報を取得する範囲が限定されてしまうため、変化への対応力、情報収集力が低下してしまいます。つまり、「若者に予算の範囲内でやりたいことをやらせる」ことは「追いつけ追い越せ行動様式」を補完する機能があったのです。

問題は、環境変化のために行動様式が機能しなくなった場合に、環境変化に合わせた行動様式に変えることができるのか、です。残念ながら、日本企業の多くは、組織硬直化したままの状態です。
外国から導入する技術も少なくなり、改善・改良する余地も少なくなりました。モノ余り時代に突入し、買い手市場になりました。企業外部から仕事を取り込む「追いつけ追い越せ行動様式」は機能しなくなりました。

活気があった時には、「若者に予算の範囲内でやりたいことをやらせる」ことで、組織硬直化を緩和させていましたが、不況になると、真っ先にこのような予算は削られました。そうなると、外部から行動様式と異なる情報を収集する能力が衰えていきます。その結果、ますます組織硬直化が進行することになりました。

組織硬直化を緩和させるには、「若者に予算の範囲内でやりたいことをやらせる」ような、組織の行動原理とは異なる内容を盛り込むことで、環境変化に対応しやすくすることが必要だったのです。
日本企業の多くが、環境変化に対応できなかったことは残念です。

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