働き方改革は将来の介護離職を防ぐ水準まで到達すれば成功

働き方改革はどの水準まで到達すれば、成功と考えれば良いのでしょうか。
私は2つの水準に分けられると考えます。1つは総労働時間を減少させること、もう1つは介護離職をしなくても済む水準まで制度を整備することです。
一般的には、例えば、残業の合計時間を少なくしようとしたり、特定の曜日に残業を規制することにして職場の電気を消したりするような前者の取り組みが行われています。このような取り組みは現状の仕組みを変えずにできます。
しかし、後者の介護離職を防ぐとなると、働き方を大きく変えなくてはなりません。そこまでやらなければならないのでしょうか。

 
安倍内閣の産業競争力会議の民間議員をしておられる、株式会社ワーク・ライフバランス社長・小室淑恵氏は著書『労働時間革命』の中で、彼女の会社が提供しているサービスである「介護と仕事の両立ナビ」を導入している企業では「ここ数年、管理職の男性が介護で仕事を休む・辞める・短時間勤務になるということが実際に頻発」していると紹介しています。
また、「厚生労働省のデータによると、2014年時点で既に介護離職は10万人を超えていますが、これでも嵐の前の静けさなのです。」と介護離職が今後増大することを主張しています。

まだ、一般的に危機感が低いのですが、近い将来確実に介護離職の問題は大きくなるのは明らかです。当然と言えば当然でしょう。高齢者の寿命は伸びるのに子供の数は少ないのですから。今の60代でも兄弟の数は少ないはずです。介護をしなければならなくなる会社勤めの人が多くなることは明らかです。
電車で乗り合わせた若い男性が上司と思われる男性と親の介護のことを話していたのを聞いたことがあります。見た感じまだ30歳代の人でしたが、夫婦が両方とも一人っ子で共働きをしていて、今の働き方では不安だと話していました。あなたの会社の若い人もそのように不安を抱えている人もいるかもしれません。

では、介護離職を防ごうとするにはどうしたら良いのでしょうか。
まずは、働き方改革は一般的に行われているような労働時間を制限するだけではないと認識することです。
その上で、労働時間削減の原資となる生産性向上を図る取り組みを行おうとすることです。

そもそも生産性向上は企業経営そのものに大きく関わってきます。
経営者自身が先頭に立って、生産性を高める取り組みを行うと宣言することが必要です。
政府が働き方改革推進を言っている今こそ、生産性向上を図るにはどのようにしたら良いのかを考える機会として考え直してみては如何でしょうか。

働き方改革に直接的に影響しなくても、生産性向上の取り組みを行うべきでしょう。
この時期に行うからこそ、従業員にも希望が生まれて、頑張ろうという気になります。せっかく、首相が働き方改革をすると言っている時期だからこそ、取り組むべき内容ではないでしょうか。

生産性向上施策を通じて働き方改革という時流に乗っかろうとする考え方が経営者に必要と考えます。
その先に介護離職を防止する水準の働き方改革が行われます。
では、どのような考え方で生産性向上を進めたら良いのでしょうか。
今後、その内容を考えていきます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました