現在、存在する「文明の利器」があれば、それを使いこなすことが社会の発展に結びつくはずです。
日本人の多くは日本人がほとんどの「文明の利器」を使いこなすことができると考えているでしょう。
日本人が如何に外部からの文明を取り入れること、使いこなすことが得意とは言え、全てできるわけではありません。
和洋折衷という言葉があります。
良い意味では、自らの良きものは残し、外部からの良いものは取り入れると言われます。確かに、今の日本は古い文化財も多く残しており、町並みも昔の風情を残しているところもあります。そして、それ以外は、近代的な文明を取り入れています。外国人観光客にもその部分を評価されています。
日本人及び日本社会が外国からそのまま取り入れようとしても、取り入れることができなかったものもあります。
①使いこなすには、特定の思考が必要であるのに、その思考が理解できずに終わってしまう、
②使いこなすには、日本組織及び日本社会の仕組みを変えなくてはならないのに、仕組みを変えることが出来ない、
この2つの要因のために、形が変わってしまっているものがあります。
特に、社会システムやマネジメントでは、用語は同じものを使っていても、用語の定義が変質してしまっているものが少なくありません。
例えば、人事制度の成果主義はアメリカと日本とではまるで違うものになっています。当然でしょう。なぜなら、前提となる人事制度の根幹が職務主義と職能主義ではまるで異なった制度なのですから。
それでも日本社会では成果主義という言葉を使っていて平気で、違和感を持っていません。本来、別物は別物の用語を使った方が、違うことを意識できます。それをしないのは、別物であるとは思っていないからでしょう。
日本人は知識や技術を取り入れることは、極めて得意ですが、思考や社会システムの変更を必要とするものを取り入れるのは苦手です。
その1つが、情報技術です。断っておきますが、情報技術そのものの水準の問題ではありません。情報技術を組織内で活用することが苦手なのです。
その一例が以下の図にあります。
日本企業のIT投資使途は「効率化」を最も重要視しています。というよりも、「効率化」しか考えていないと言っても言い過ぎではないぐらい、他の使途が少ないです。
ITコーディネータ協会は「効率化」以外のことも目を向ける「攻めのIT」への転換を促進しようとしています。しかし、攻めとか守りとかの問題ではないように思えます。
それよりも問題なのは、現在、日本企業はIT投資を組織内で活用することが苦手と認識していないことです。まず、苦手であることを認識することが重要です。
SFA(営業支援システム)についても、導入したものの、システム上の多くの機能を使っていない会社が、少なくないと聞きます。
このような現象が起こるのは、情報技術の水準が問題ではありません。情報技術を生かすのに適した社会的仕組みを整備することが苦手なのです。
日本及び日本社会が外国からそのまま取り入れようとしても、取り入れることができなかった2つの理由を書きました。
これを情報技術が使いこなせない理由に書き換えると、、
①情報技術水準向上の恩恵を受ける思考が理解できてない
②使いこなすための仕組みを変えることができない
ことになります。
では、具体的にはどのようなことが必要なのでしょうか。これから整理していきたいと考えます。
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