蛸壺化緩和施策だけでは日本企業の組織硬直化緩和は難しい

私は公務員を退職して、組織硬直化を緩和させる組織風土改革をしたいと志しました。しかし、すぐに壁にぶつかりました。
その理由の一つは、私の感触では、日本企業の多くは組織硬直化が進行していると感じましたが、ほとんどの人が自分の所属企業に組織硬直化が進行しているとは感じていないため、組織風土改革の必要性を感じていないことがあります。
もう一つは、自分が提案しようとしていた基本的な取り組みだけでは、多くの日本企業に効果をもたらさない確信があったことです。

 

組織風土改革を行う場合、組織硬直化に苦しんでいる企業は、多くの場合、蛸壺化しているため、まずは蛸壺化を緩和することが基本的な取り組みです。
①部門間連携を高めるため、部門から外に出ない情報の共有化を図り、部門間の情報の流通を促す
②特に、営業部門や消費者対応部門などの顧客に近い情報の共有化には力を入れる
③部門を越えた議論の場を作り、自由闊達な議論を促す
④議論によって得た企画の中で良い企画を実行に移す
上記基本的な取り組みで、まずは部門内にある「部分最適」を企業全体の「全体最適」に変える活動を促し、新たな価値を生み出すことで、企業の活性化を図ります。

 

しかし、私には、仮に日本企業に施したとしても、一時的な効果は生まれるでしょうが、すぐに元に戻ってしまうような確信があったのです。もちろん、それではビジネスになりません。なぜ効果をもたらさないと考えるのか、どのようにしたら効果をもたらすのかを考えなくてはなりません。
私がそう思うのは、多くの日本企業には共通した組織硬直化の特徴があるのではないか、と考えるようになりました。
その特徴をようやく見つけることができました。それが私が定義する「追いつけ追い越せ行動様式」です。

 

「追いつけ追い越せ行動様式」での行動を箇条書きにすると以下のとおりです。
①優れた製品を真似て同じような製品を作ります。
②製品の評価基準の延長線上で絶え間なく改善・改良を続けて、真似た製品を追い越そうとします。スペック向上、コスト削減、不良品削減、携帯性向上などに挑みます。
③オリジナルの製品を作る場合、真似た対象と同じような完成度の高い製品を作ろうとします。
④「追いつけ追い越せ行動様式」で説明できる内容には果敢に取り組みますが、説明できない内容には及び腰になります。
⑤企業の行動様式だけではなく、技術的側面では、人の教育においてもこの行動様式で動きます。

 

蛸壺化緩和施策だけでは日本企業の組織硬直化緩和は難しいのは、日本企業は既存のモノをより良くしようと自律的に活動しますが、良いと評価とされる規範は組織内に既にあり、それを外部の顧客の情報によって変えようとする意識が希薄だからです。
問題解決を図ろうと狭い範囲に集中して考えることが、世界に類を見ない高度経済成長を成し遂げた要因と考えます。今、日本企業が苦しんでいる理由も時代が変わり、優位に働いた条件が変わってしまったからと考えられます。

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