蛸壺化緩和はコミュニケーションが大切。分担して城壁を直す例

蛸壺化を緩和させるにはどうしたら良いだろうか?簡単な例として、城壁を分担して作る場合を考えてみましょう。
豊臣秀吉が織田信長に壊れている城壁を見て、自分ならすぐに直して見せますと言って仕事をもらい、出世の足掛かりにしました。
壊れた壁を分担して作業に当たらせて作業を早めることに成功しました。その際、早く作業が終わったところには褒美を出しました。問題は、分担した境の部分がきちんとした壁になっているかどうかです。その場所がきちんとしていなければ、監督者にその場所を破壊させて、もう一度作らせたそうです。

 

この例で考えれば、作業している人間からすると、自分達で壁を作っている部分は、作業が自分達だけで完結できるので、壁の長さがどんどん長くできます。「作業量」と「できる壁の長さ」を考えれば、自分達で作っている場所は作業量の割にはできる壁の長さが長くなります。
しかし、壁をつなぎ合わせる少し前の場面では、相手の組み合わせる状態を見ながら作業しなくてはなりません。最後につなぎ合わせる場面に到達するまでの間があまりにも条件を満たしていないと、きちんとした壁にならないからです。
最後に壁を直接つなぎ合わせる場面では、お互いにコミュニケーションを取りながら作業することが大切です。うまくつなぎ合わせることができなければ、やり直さねばなりません。

 

壁を直接つなぎ合わせる場面とその前の段階の場面では、「同じ量の作業量」なのに、「できる壁の長さ」が短くなります。壁を作る作業だけではなく、隣の業者との連絡、連絡した後の対応、修正、など、細かな仕事が多く存在します。
城壁は連なっていることで意味があります。外部からの敵を入れないようにするのが城壁の目的です。崩れた城壁を直すからには、壁が連なっている状態になっていなければ意味はありません。隙間が空いていれば、その部分から敵が入ることになり、城壁の機能が失われてしまいます。目的遂行のためには、壁のつながる部分はどんなに作業量が多くなっても、行わねばならない仕事です。
しかし、普通の人間は、作業量とできる壁の長さとの対比で作業効率を考えてしまいます。そこで、目的達成との齟齬が生まれます。目的達成のためには、つなぎ目の部分で作業量が多くなるのはやむを得ないのですが、個人で仕事をしている時なら作業量の割にできる壁は長くできます。可能ならば、つなぎ目の仕事は適当にやって終わらせたい、と考えるのは自然です。
そのため、豊臣秀吉は見せしめに幾つかの壁のつなぎ目を壊したそうです。

 

可能ならば、つなぎ目の仕事は適当にやって終わらせたい、と考え、そのような仕事は極力しないで個人だけの、同じ部門だけの仕事にこもってしまう、蛸壺に自ら入り込んでしまうのが、蛸壺化現象です。
蛸壺化を緩和するには、
①仕事の目的を明確にする
②仕事の評価基準を通常の評価基準と変化させる
③話し合いの場を設けて、コミュニケーションを積極的に取る
ことが必要です。
上記の例は同じ作業をしている人達がつなぎ合わせるだけです。異なる部門との連携は異なる仕事をしているために相手が具体的にどのような問題に対処しようとしているのかがわかりにくいことを認識する必要があります。
日頃からコミュニケーションを取って、相手が普段何をしているのか、何を考えているのか、何が問題なのか、どのような解決策がありそうなのか、などを把握しておくことが、部門間の問題解決能力向上につながり、蛸壺化を緩和することになります。

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