皆さんは講演会や偉い人の話を聞く時に、どのような心構えで聞いているでしょうか。一人がスピーカーとなり、大勢が一緒に聞くような場面です。
当然、途中で話の腰を折るような質問はできません。話をきちんと全部聴こうという意識があっても、途中からわからなくなってしまっては、話を聴こうという気持ちも萎えてしまいます。
仮に質問しなくても十分にわかる内容であっても、長い時間であれば、聴くことに集中できないこともあります。
また、自分と全く同じ意見であれば飽きてしまい、聴く気がなくなってしまうこともあります。むしろ、自分の意見に否定的な人の講演は、なぜ自分の意見と違うのだろうかと思って聞くので、刺激になって長い時間集中しやすくなり、内容も良く覚えているようです。
ここで事前に考えて、××の専門家と聞いたから、私が今担当している業務に関係する△△のことを中心に聞いてみようと問題意識を整理した上で聞くとどうでしょうか。
その他の内容の話は流して聞くことになります。△△の話が出たときに集中できれば良いのです。その方が自分に関係する△△の話を良く理解することかできます。
会社内の会議でも、議題が自分の職務とどのような関係にあるのか、自分がどのような役割が求められているのか等を整理しておくと反応しやすくなります。
もっとも、「空気を読む」ことを求められる会社では、別の対応も必要でしょうが。
このように問題意識を整理しておいて、特定の内容にのみ注意を集約する行為を私は「意識の集約」と呼んでいます。
その他の内容を流して聞いていることはもったいないように思えます。経験則として、よほど問題意識が高い内容でなければ、長い時間聞いていることには集中できないのではないでしょうか。ならば、自分の関心のある内容を整理しておいて、そのことを聞こうという気持ちでいた方が良い収穫をあげることができると考えます。
私が「意識の集約」と呼んでいる内容は一般的に言われている「集中力」とは異なります。
本当は集中という言葉を使いたいが、集中力という言葉と似ているので区別するために集約を使っています。
集中して一言一句聞き逃さないようにする、集中力を必要とする行為ではありません。むしろ、聞くテーマを絞り込む方が近いです。
人間は異なった二種類のことを同時に行うのは難しいです。同様に広い範囲を見ようとするよりも、特定の狭い範囲を見る方が詳細な内容を収集し易くなります。
私の仮説では、頭の中のワーキングメモリ(パソコンではRAM。随時アクセスメモリ)の機能で使う容量が大きくなってしまうため、二つのことを同時に処理することができなったり、広い範囲を処理できなかったりすると考えます。その結果、処理スピードが落ちるのです。
そして、事前に絞り込んでいることは、絞り込んでいることと全体像との関係が明確になっている、もしくは、それに近い状態を意味します。すなわち、絞り込んだ特定の部分の内容を、自分の頭の中で、活用しようとする内容に関連づけることができるのです。
だから、何も考えずにいる時よりも効果的に話を聞くことができるのです。
ここでは、1人のスピーカーの話を長時間聞くことを事例に上げました。
わかりやすいと思って、この事例としましたが、私が主張したいのは「意識の集約」が行われている時には、多くの人が見逃してしまうような内容を気づく可能性が高くなることです。
つまり、同じ時間に同じ場所で同じ対象を見ている二人が、受け取る内容が違うことがあることを主張したいのです。
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