「変化が激しい時代」と言われます。
今の時代を表す言葉として、良く使われます。
では、何の変化が激しいのでしょうか。
その変化の激しいことが日本経済にどのような影響を与えているのでしょうか。
何の変化が激しいのか、という問いには、答えにくいです。
なぜなら、多くの要素が変化しているからです。
財の提供に関わる技術の進展、財の提供を促進する情報技術の進展、消費者の購買行動も変化しています。それぞれを細かく見ていくと、多くの対象が変化しています。
これをどのように捉えれば良いのでしょうか。
その要因を単純に一言で表せば、「経済発展段階の高度化」ではないでしょうか。
経済発展はその水準によって段階があります。その段階を高い水準にまで到達したため、これまでとは異なる変化が生まれるようになったのではないでしょうか。高度化によって、組み合わせが多くなったり、選択肢が多くなったりすることで、より多くの変化が生まれるようになったのです。
経済発展段階の高度化は、
①多くの産業分野が発展・成熟化し、組み合わせが多くなり、多くの技術が発達しています
②食品など必需的な財への消費金額の割合が低下し、高付加価値の財の消費金額の割合が増加したため、購買活動に個人の嗜好が多く反映されるようになってきました
③消費者の属性・嗜好によって、細かく市場が分かれ、それぞれの財が業種内の競合他社に限らず他の産業の財とも緩い競合関係を持つようになりました
④情報技術の発達により、財に関わる全ての人々、すなわち、生産者、提供者、消費者が情報によって行動を変えるようになりました
⑤物理的な量としても、財が需要よりも多く提供され、モノあまり現象が生じました
などの現象が生まれました。
この中で、⑤のモノあまり現象になったことで、経済の発展段階を1つ上がったと言っても良いでしょう。提供しても購入してもらえなくなるので、より多くの変化を促進する背景要因となりました。
これらの現象の結果、多くの分野で変化が生じるようになったのです。
しかも、変化の方向性も読みにくくなりました。
同業他社だけを見ていれば変化が読める時代ではありません。
過去の高度経済成長期の時には、安くて良いモノを一生懸命作れば良かったのです。今はそれだけでは企業存続には不十分です。
日本経済が高い水準まで発展したために、その水準まで到達する時に用いていた行動様式が、今の時代に通用しなくなったのではないか、と考えます。
そう考えれば、なぜ日本だけが高度経済成長できたのか、なぜ日本だけが最近長期デフレで苦しんでいるのかが説明できます。
過去の高度経済成長期も必然であり、最近の長期デフレも必然となります。
その行動様式については、後で説明します。
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