普及期に消費増加を促す耐久消費財が今は普及し終わっている

所得増加が消費に結びつきやすいのは普及期の耐久消費財です。
今は普及し終わっています。
その分、現在の公共投資の波及効果は小さくなったと考えるべきでしょう。

耐久消費財は生活を変える力があります。
無かった時のことを想像すれば、生活が大きく変わる商品でした。

耐久消費財が普及する前の開発途上国に経済協力で現地にいた人に話を聞いたことがあります。
私が異なる民族の人々のマネジメントは難しかったでしょう、と言うと、簡単だったと返されました。その理由は、雇っていた人にもっと仕事をくれと常に言われていたからだそうです。それは食べられないからではなく、耐久消費財を買うためだったそうです。

車とクーラーを除いて、多くの耐久消費財の普及率のグラフは普及しだしたら急速に普及するカーブを描きます。
それはなぜでしょうか
もちろん、説明したように耐久消費財は生活を変える力があるので、多くの人がすぐにでも欲しいと考えることが要因の一つです。

その他の要因として、日本人特有の見栄を張る行動があります。
今では考えられないが、日本人の9割は自らを中流と言っていました。
中流とは上流でもなく、下流でもない。普通の所得水準で生活しているという意味です。
非正規雇用が増加し、所得格差が大きい今では考えられない時代です。

見栄を張る人々で、自分の所得は周りの人々と変わらないと考えていたら、多少無理しても周りの人と同じ行動をとりたがるでしょう。
この要因も耐久消費財の普及を後押ししたと言われています。

耐久消費財は大量生産によって、作る量が増えるにつれ価格が低下します。
購入を見合わせていたフォロワーの購入を強力に促した状態にあったと言えます。

ツイッター(Twitter)の世界では、フォロワー(follower)とはあるユーザーのことをフォローしているユーザーのことを言います。
耐久消費財の普及過程でのフォロワーは追従者と言い換えることができます。つまり、製品が出始めてすぐに買う人ではなく、それらの人々の様子を見て、良いと思えば後から買う人々です。
フォロワーの多くは比較的所得の低い人達であったと考えられますが、そのような人々もフォロワーとなることができる状態であると言えます。

これら耐久消費財のほとんどは日本で作られた製品でした。
1977年(昭和52年)では、日本人が日本で作られた製品を買っていました。

公共投資の波及効果としては、
・公共投資に関与する企業から給与を得た人が耐久消費財を買い、
・耐久消費財を作っている企業にその購入資金が入り、
・耐久消費財を作っている人々の給与も増える、
という流れができることになりましたた。

その意味では、1977年(昭和52年)当時では、上記の流れの波及効果が明確にありました。
今はありません。
その分、現在の公共投資の波及効果は小さくなったと考えるべきでしょう。

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