公共投資の波及効果とは何かを考えてみます。
一言で言えば、「投資された資金が経済活動での取引を重ねて波及して回っていく効果」です。
公共投資の景気浮揚効果を考える際に、公共投資に投じた資金の額がそのまま効果として出るという考え方ではありません。その金額の取引だけでは景気は浮揚しません。全体のGDPに占める公共投資の金額の割合は極めて低いです。
公共投資が景気浮揚効果があると考えられるのは、投じた金額が周りを刺激して、経済活動を促進させる効果があると考えられているからです。
公共投資はあくまでも刺激であって、その波及効果が景気を浮揚させるという考えです。
そうなれば、刺激する公共投資の額が大きければ大きいほど刺激が大きいことになります。
波及効果は公共投資という刺激から得られるものであるならば、波及効果を大きなものにするかどうかは環境条件が大きく関わってきます。
このWebサイトでは、40年前の1977年の環境条件が公共投資の波及効果を大きくしていて、近年はその条件にないと訴えたいのです。
仕事を得た後の企業の行動を表すと以下のとおりです。
(1)材料を調達します。
(2)自ら雇っている労働者と材料を使って仕事をする。その過程で労働者に給与を支払います。
(3)仕事の終了を確認され、企業にお金が入ります。労働者給与や材料費等を除いた儲けを投資します。
消費者は消費する場面では消費者ですが、企業との関係では労働者です。企業から給与をもらい、消費します。
「公共投資の波及効果」は、プロセスを追って説明すると、
(1) 公共事業を受注した企業は指定された公共事業の仕事をするために原材料を仕入れたり、労働者を雇う賃金を払います。
(2)-1 労働者は消費者となって、この公共事業で得た給与を消費します。
(2)-2 受注した企業は仕事を完成させて、残った自分の利益を新たな事業として投資します。
(3)-1 (2)-1で消費した財を供給した企業、(1)の材料を供給した企業、(2)-2で投資に使った材料を供給した企業がそれらの効果を受けて利益を得て、自社の労働者に給与を支払います。
(3)-2 (3)-1の活動を受けて得た利益を新たな事業として投資します。
(4) (3)-1 (3)-2をまた重ねて活動をします。それが無数に行われます。
(5) 公共投資自体が経済に良い影響を与えます。
となります。
上記の(1)だけが公共投資そのものの金額です。
(2)より後が刺激を受けた波及効果となります。
あくまでも「国内の市場に資金がある場合のみ」効果が生まれます。
それ以外の場合とはどのようなことが考えられるのでしょうか。
・貯金
・借金返済
・海外の企業との取引で、その企業が得る利益やその企業が労働者に支払った給与
等が考えられます。
上記に挙げた行為をしたら、始めの刺激から取引の回数を重ねていくにつれ、市場に残っている資金が少なくなっていきます。
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