近年の公共事業の波及効果は極めて小さいと考えます。
近年はそうだとしても、過去には波及効果があり、その成功体験があったからこそ、今なお膨大な金額が景気対策として投資されていると考えるべきでしょう。
その比較対象として、公共投資の波及効果が明確にあった40年前の1977年を選びました。
1977年(昭和52年)がどのような年だったのかを整理してみます。
交通網の整備状況は、山陽新幹線が1975年に開通し、新東京国際空港(成田)が1978年に開港しました。
高速道路網は既に名神、東名は建設が終わっており、中国自動車道、東北自動車道が建設途上にあります。
全国的に整備される新幹線及び高速道路網はまだまだ整備途上で、発展する伸びしろがまだまだあった時代です。
主な出来事としては、日航機ハイジャック事件、青酸コーラ事件があります。
日航機ハイジャック事件は、パリ発羽田行きの日航機が経由地ムンバイ空港を離陸直後、日本赤軍にハイジャックされ、ダッカ国際空港に強行着陸しました。福田赳夫首相(当時)が超法規的措置として、身代金の支払いと、獄中メンバーの引き渡しを決断しました。
青酸コーラ事件は、1月から2月半ばまで、東京・大阪で起こった無差別殺人事件です。青酸ソーダ入りのコカ・コーラを飲んだ会社員らが死亡しました。手口は中身の入っているコーラに青酸ソーダを入れて置いておくというものでした。その流れでチョコレートも使われた事件も発生しました。同一犯かどうかは不明です。
その他、NHK教育の完全カラー放送化により、白黒テレビ放送が完全に終了しました。
流行曲としては、青春時代(森田公一とトップギャラン)、 失恋レストラン(清水健太郎)、フィーリング(ハイ・ファイ・セット)、星の砂(小柳ルミ子)、津軽海峡冬景色(石川さゆり)、勝手にしやがれ(沢田研二)、渚のシンドバット(ピンクレディー)、イミテイション・ゴールド(山口百恵)等がありました。
スポーツでは、王貞治が世界新記録となる通算本塁打756号を達成しました。
耐久消費財の普及状況は、三種の神器と言われていた洗濯機、冷蔵庫、白黒テレビはほぼ普及し終わっていました。
新三種の神器とか3Cと言われていたカラーテレビ、クーラー、車(car)のうち、カラーテレビはほぼ普及し終わっていて、クーラーが30%ぐらい、車が50%ぐらい普及している状態です。
クーラーと車の普及率向上は景気対策の波及効果と関係があったと考えて良いでしょう。
ビデオデッキは家庭用の製品がソニーから1975年に、ビクターから1976年に出たばかりで、その後行われたベータ・VHSの規格争いがまだ起こっていない段階で、普及率も1%もない状態です。今回の比較時にはビデオデッキの普及は関係ないと考えて良いでしょう。
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