経営者自身が組織硬直化に立ち向かわなければ好転しない

組織硬直化は慢性疾患です
急性疾患なら、症状が出て、誰もが問題があると分かります。
しかし、慢性疾患はなかなか症状が出ません。

例えは悪いが、人間ドックに入って、詳細に検査したはずなのに、わかりにくい病気があります。症状が明確になった時は手遅れになってしまうことが少なくありません。
組織硬直化は、そのような病気なのです。

いや、その例えですら、適切ではないかも知れません。
進行すればするほど、当人には全く症状が見えない。当人に病気という意識がないのです。
この病気に限っては、当人が検査をしようとしない傾向があります。つまり、組織構成員の多くが組織硬直化の問題から目を背けようとします。

これには1つの理由があります。
組織風土は組織内のコミュニケーション内容と大きく関係してきます。組織硬直化に関心を持つことは、組織内のコミュニケーションや秩序形成を否定することにつながります。
それは、個人にとっては解決不可能な大き過ぎる問題になります。

組織内の一部の人が問題意識を持つ場合があります。
その人達に話を聴くと、硬直化した組織の現象を列挙し、これではいけないと伝えてくれます。

しばらく時間がたって、どうなったのかを聞くと、多くの場合、何も変わらないと言われます。その前に聞いたのは、単なる愚痴だったようです。
当人も周りの人間が問題意識を持っていないことを知っているので、どうにもできない、無力感を持っているのでしょう。

出版に関係している人に組織硬直化についての本を出したら、需要があるのか、と聞いたことがあります。
成功事例があったなら、という前提で、需要はあると言ってくれました。

「組織の一部の問題意識のある人間だけに需要があるが、日本にはたくさんいるだろう。」
「だが、組織の問題意識を持った一部の人間がなんとかしようとするだけで、組織構成員の足並みが揃わず、効果が上がらないだろう。」
「組織硬直化の問題の本質は、当人達が自分達の組織が硬直化していると思っていないことだ。」
「効果が出ない本と言われたくないから、自分なら出版に関わりたくない。」

これらの言葉に組織硬直化の問題の本質が表れています。

「組織硬直化に関心を持つことは、組織内のコミュニケーションや秩序形成を否定することにつながります」と書きました。
これは組織硬直化に直面した個人の多くが感じることです。

では、組織硬直化の問題に取り組める人は誰でしょうか。
経営者です。
経営者しかいないのです。

なぜなら、それ以外の従業員はそれぞれの職務を与えられて、それに取り組むことで精一杯だからです。
それらの職務以外のことをできるのは経営者しかいないのです。

経営者が組織硬直化の怖さを認識し、その緩和に努めようとすることが大切です。

「組織内のコミュニケーションや秩序形成を否定」しなくても、徐々に組織硬直化を緩和する施策もあります。
それらを実施することで、組織活性化を促すことが可能です。しかし、多くの人はその存在を知りません。

それら施策が成功する鍵は、組織内の情報の流れ方です。
組織硬直化はその字面から行動が硬直することが問題と考えられています。しかし、それが本質ではありません。行動が硬直するのは、情報取得能力や情報活用能力が低下するからです。
それを次の記事で説明します。

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