なぜ組織硬直化が進行するのでしょうか。
まず、はじめにビジネスと組織との関係について考えてみましょう。
ビジネスは自分の得意な分野で人を喜ばせることです。
ただし、個人でやろうとすれば、限界があります。
人を、消費者をもっと喜ばせようとすれば、組織を作る必要があります。
組織は個人でできないことができます。
提供する製品またはサービスを質、量ともに良くすることができます。
そのために、組織では、個人に役割を与えます。
職務を分担して、効率化を図ります。
しかし、個人で行っていた時とは違い、消費者との距離が離れてしまいます。
消費者を喜ばせる目的を達成するために、何をすれば良いのかわからなくなってしまうこともあります。
組織は存続すれば、組織内常識ができあがります。
存続している組織には成功体験があります
成功体験が組織行動原理を形成します。
構成員は組織行動原理に沿って行動すればリスクが低くなります。
人間は頑張れば報われたいと思います。
人間は努力すれば結果を得たいと思います。
当たり前のことです。
頑張りを要求されればされるほど、その想いは強くなっていきます。
その想いが強くなればなるほど、自然と組織行動原理に沿って行動するようになります。
より多くの結果を求められれば、質よりも量を多くしようとします。
頑張りを求められば、なおさらです。
その結果、同じことの繰り返しをするようになります。
判断も手間を掛けず、情報収集したりせずに、組織行動原理に沿おうとします。
必然的に、新しい提案をするために考えたり、情報収集したりするをしなくなります。
このような個人が多くなれば、組織は硬直化していきます。
ビジネスは相手がある話です。
消費者はいつも同じ購買行動をしてくれるとは限りません。むしろ、今の時代は変化して当然と考えるべきです。
頑張っても報われない、努力しても結果が出ない可能性も高くなります。
問題は、組織の行動原理に沿っていても、消費者の購買行動が変化したために、期待していた反応を得なかった場合に修正できるかどうかです。
組織構成員が新しいことを考えることができなくなったり、情報収集もしなくなったりすれば、消費者の反応すらわからなくなってしまいます。
その結果、ますます組織と消費者との距離が広がっていきます。
その状態が変わらなければ、ますます組織硬直化が進行します。
組織硬直化が進みやすくなる組織は、組織行動原理を変える新しい成功体験が生まれにくい傾向があります。
・部門が蛸壺化して、部門最適で動こうとする
・短期に出る結果ばかり考える
・新しい取り組みをしようとしない
・従業員のモチベーションが低い
などの傾向があります。
組織硬直化の背景には、
・失敗を恐れる行動原理
・頑張ることを求める組織
・技術導入、改善、改良などリスクが少ない活動での成功体験
・日本人が得意とする周りに合わせようとする行動
があります。それらが組織硬直化に大きな影響を与えています。
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