組織硬直化とは、組織目的を達成するため、新しい価値の提供をしたり、環境変化に対応したりする際に、組織のパフォーマンスが十分に発揮できない現象です。組織が機能不全に陥る、組織が形骸化するなどとも使われます。
体が柔軟な人は体を色々な形にすることができます。体が硬い人は、体を曲げることだけでも一苦労です。
同じように、組織が硬直しているために、異なる人や問題に対して、新たな価値を提供して満足度を上げる対応ができない状態です。
1.硬直化している組織の特徴
硬直化している組織は、コミュニケーションがうまくいっていないと言われます。
コミュニケーションがうまくいっていないと、新たな価値を生み出す企画を作り出したり、新たな協力体制を築いたりできないので、組織のパフォーマンスを十分に発揮できません。結果として、硬直化していると判断されるのです。
日本企業は硬直化しやすい傾向にあるにも関わらず、関心が低いです。(日本企業は組織硬直化しやすい組織構造がある)
組織硬直化は行動が硬直化するだけにとどまらず、新しいことを行おうとすることや新しい情報を得ようとすることもしなくなってしまう、恐ろしい病気です。(なぜ組織硬直化が進行すると情報取得能力が低下するのか)
存続している組織には、これまでの体験に基づく組織行動原理があり、組織構成員は意識しない状態で影響を受けています。
2.組織が環境変化に適合できなくなる状態とは
ビジネスは相手がある話です。
消費者はいつも同じ購買行動をしてくれるとは限りません。むしろ、今の時代は変化して当然と考えるべきです。
頑張っても報われない、努力しても結果が出ない可能性も高くなります。
問題は、組織の行動原理に沿っていても、消費者の購買行動が変化したために、期待していた反応を得なかった場合に修正できるかどうかです。
組織行動原理に沿おうとする傾向が強い人は、判断に手間を掛けなくなります。
必然的に、新しい提案をするために考えたり、情報収集したりしなくなります。
このような個人が多くなれば、組織は硬直化していきます。
組織が硬直化してくれば、組織全体が相手に合わせて柔軟な対応をしようとしなくなります。
組織構成員が新しいことを考えることができなくなったり、情報収集もしなくなったりすることを促進します。
そうなれば、現場で問題があっても、その存在すら気づきにくくなります。消費者の反応すらわからなくなってしまいます。
組織構成員の情報取得能力が低下します。(なぜ組織硬直化が進行すると情報取得能力が低下するのか)
ますます組織と消費者との距離が広がっていきます。
その状態が変わらなければ、ますます組織硬直化が進行します。(なぜ組織硬直化が進行するのか)
3.お役所仕事
良く組織硬直化の事例に出されるのが、お役所仕事です。
ここでは、わかりやすい事例として挙げているだけで、全ての公的機関が硬直化した組織だと議論を吹っ掛けるつもりはありません。
良く言われるお役所仕事とは、
・「前例がありません」と言って断られる。
・担当部署がわからず、たらい回しにされる、
・本来の目的があるにも関わらず、多くの細かなルールの徹底が重視される、
などの状態を言います。上記の現象に対して、
・「前例がないからこそ、何とかしようとするのが自分達の仕事だろう」
・「担当部署ぐらい、すぐに分かれよ。嫌がらせじゃないのか。」
・「こんなに多くの細かいルールは、この事業の目的遂行のために必要なのか」
という気持ちを持ちます。
彼らに言わせれば、柔軟に対応したくても、組織内の規定があって、対応できないこともあります。第三者的立場で聞いていても、現場の一担当者に言っても仕方がないだろうと感じる内容をぶつける人もいます。
そうであっても、現場の職員の努力で改善する余地があると感じる人は多いと思います。
あなたが所属している会社は、上記のようなお役所仕事をしていませんか。
民間企業で顧客に不満を感じさせれば、同業他社に換えられて、自社との取引が終わるかも知れません。
組織が硬直化してくれば、相手に合わせて柔軟な対応をしようとしなくなりますから、現場で問題があっても、その存在すら気づきにくくなります。
その症状が進行すると、顧客ニーズの変化やその背景にある環境変化に気づきにくくなります。
そのような組織が競争に勝てるでしょうか。
組織硬直化は企業存続が難しくなる、とても怖い病気なのです。
4.追いつけ追い越せ行動様式
存続している組織には、これまでの体験に基づく組織行動原理がある、と書きました。バブル崩壊前に高水準の経済成長を経験した企業には、成功体験が組織行動原理を形作っています。その程度は企業によって異なりますが。日本組織が多く持っている特徴的な組織行動原理を「追いつけ追い越せ行動様式」と名付けました。(日本の長期デフレの要因「追いつけ追い越せ行動様式」とは)
大きな話になってしまいますが、日本の長期デフレの要因になっていると考えています。(なぜ日本だけが長期デフレなのか?デフレを促進する要因とは)
これから、「追いつけ追い越せ行動様式」を使って、日本企業が環境変化に対応できないで苦しんでいる構造を整理したいと考えています。
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