「囲い込み」を止めたから、1998年に長期デフレへ移行

長期デフレに移行してから18年も経ちます。もはや、当時の雰囲気は思い出せないのかもしれません。
日本の企業は、バブル経済がはじけた1990年以降もまだ日本が高い水準の経済成長をすることを諦めていませんでした。長い期間、高度経済成長期が続き、その後、少し水準は落としたとは言え、まだまだ高い水準の経済成長を続けていました。
そして、バブル景気がやってきて、バブル崩壊が起きました。その後はしばらくの間は、バブル崩壊後の後始末をする時間が必要です。それが終われば、また景気が回復すると考えていました。
しかし、1998年に日本企業が日本が高い水準の経済成長をするという期待を諦めたのです。
その結果、「囲い込み」を止めたのです。

「囲い込み」とは、日本が高い水準の経済成長をすることを期待し、その時に他企業に差をつけられないように働いてもらうために、従業員を他企業へ移らせないように、多くの企業と足並みを揃えて賃金を上げたり、労働環境を整備したりすることです。
多くの企業が終身雇用のようにしていたのは、囲い込みの概念でみればわかりやすいのではないでしょうか。
当時、春闘が機能していたのは、「囲い込み」のために、企業側が多少無理しても他企業に足並みを揃えて賃上げしようとしていたからです。「囲い込み」を止めた後、春闘がまるで機能していないのはそのためです。

「囲い込み」を止める、ということは、従業員の賃金を抑制し、他企業に移ってもらってもかまわないと考えることです。
「囲い込みを止めたこと」を経済学者が過小評価しています。いや、過小評価どころか、その概念を認識すらしていません。と偉そうに言ってみましたたが、概念を認識すらしていないのは仕方がありません。
なぜなら、言葉がないので、私が勝手に作ったからです。他の人が認識するわけがないのです。
これが日本の長期デフレを理解できない大きな要因の一つと考えています。

1998年に日本企業が、高度経済成長期から続いていた、日本が高い水準の経済成長をするという期待を諦めたのです。その結果、従業員の「囲い込み」を止めたのです。
そう、1998年から日本は別の国になったのです。

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