日本人が「強み」を生かす方法に興味ないのは勿体ない

日本人の多くは勤勉です。これは誇らしいことです。
しかし、今日本経済は苦しんでいます。
その原因の一つは、日本人が「強み」を生かす方法に興味ないため、日本人の能力を十分に発揮できていないことと考えています。
その一つの傍証として、「強み」の定義が十分に理解されていません。それでは、「強み」を生かす方法など学習できません。
日本経済が苦しんでいるのは、決してデフレが原因ではありません。

そもそも強みとはなんでしょうか。
言葉どおり、自らの能力の強い部分です。
なぜビジネスで強みを考える必要があるのでしょうか。
将来、新たな製品またはサービスを、特定のターゲットに提供するために磨く必要があるからです。
なぜ強みが強くなくてはならないのでしょうか。
ターゲットに価値を認めてもらうためです。さらに、他社に簡単に真似されないためです。
しかし、今、強くなくても良いのです。
将来、新たな製品またはサービスを、特定のターゲットに提供するために磨くのですから。
ただし、強みの伸ばし方、強みの生かし方の取得・実践には貪欲になる必要があります。

私の知り合いが、10数年前に50社程度の中小企業に入って、経営戦略策定支援をしました。その時、SWOT分析(経営に関するS・強み、W・弱み、O・機会、T・脅威の四つの分野の要素を列挙し、それらの関係性から、企業の戦略を導き出す分析手法)をしたのですが、対象企業は口を揃えて「我が社には強みはありません。」と言われたそうです。この傾向は今も変わらないかもしれません。
SWOT分析で強みがわからなかったら、良い分析などできません。勿体ないのは、それらの企業が自らの強みを磨かずに、意識すらせずに、企業活動していたことです。

この話を戦略系のコンサルタントにすると、「それらの企業は、何のために企業活動をしているんだろう。」と笑われてしまいました。
なぜ彼らは、自らの強みを列挙できなかったのでしょうか。
日々の企業活動に追われていたからです。
目標の売上を上げるため、顧客の要望を聞き、できるだけその要望に応えようとします。価格競争をせざるを得ない場合は、他社と比較されて、弱い立場になっている場合が多いのでしょう。
そうなると、自社に強い部分はない、と思ってしまうのです。

「強み」と聞いて、価格交渉で強く出られるぐらい「強い」要素と認識してしまえば、「我が社には強みはありません。」と答えてしまうのも無理もありません。

では、なぜ今強くなくても、将来、新たな製品またはサービスを提供できるようになるのでしょうか。
三つの変動要素があります。
それは、
①強みを「伸ばす」ために磨くこと、
②対象ターゲットを絞り込むこと、
③絞り込んだターゲットが評価してくれるような製品またはサービスに作り替えること(まめに反応して、顧客の変化に対応することも含む)
の三つです。
これらの三つの変動要素があれば、競争条件が変わり得るのです。
日々「強み」を意識して磨き、上記三つの変動要素を考える技術を磨けば、特定ターゲットに競争力のある製品またはサービスを提供できる可能性があるのです。
それらの可能性が無い状態ならば、その企業及び企業の従業員の能力を十分に発揮できているとは言えないでしょう。

今は「強み」を認識していなくても、自らの能力の中から比較的勝負出来なそうな能力を選んで決めることはできます。
(ただし、思いつきや勢いで簡単に決めるものでもありません。決め方については、後で説明します。)

強みの伸ばし方、強みの生かし方の取得・実践に貪欲になってみませんか。

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