デフレの要因は、賃金上昇機能貧弱と日本企業の環境不適合

消費金額を増やしても良いと判断する材料は何でしょうか。
「収入が増える見込み」ではないでしょうか。
今お金があるかどうか、ではありません。

なぜデフレが起きるのか。
デフレは需要減退によって起きます。
では、なぜ需要減退が起きたのでしょうか。
それは、「将来的に賃金が増える見込み」がないからではないでしょうか。

デフレの要因は、「賃金上昇機能貧弱」と「日本企業の環境不適合」と考えます。と言っても、私以外誰もこのようなことを言っていないので、意味かわからないと思います。理解してもらうには説明が必要です。

「賃金上昇機能貧弱」とは、既存の労働制度に賃金上昇がシステムとして組み込まれておらず、その機能が貧弱な状態にあることです。
では、デフレ前はどうだったのか、と思われるでしょう。デフレ前は社会全体が賃金上昇すると思われていました。それは過去の実績もありました。
前の記事「日本人は連続性の要素を抽出した「神話」を大切にする」( https://shinkashi.com/2016/07/03/shinwa/)で日本人は「神話」を生み出す傾向があることを説明しました。
当時は、日本人の中で「賃金上昇神話」が成立していました。だから、消費もそれぼど停滞しなかったのです。
しかし、1998年に労働市場が悪化を契機に、「賃金上昇神話」が無くなってしまい、賃金上昇機能が貧弱であることが一気に表面化してしまいました。

「日本企業の環境不適合」とは、経済環境が変わっていくのに日本企業がその変化に適合できず、企業の成長が見込みにくくなったことです。
この状態はなだらかに低下し、少しずつ日本企業の国際競争力が劣化していきました。

日本企業の国際競争力が劣化する最中に、1998年に賃金上昇機能が貧弱であることが一気に表面化しました。そのため、「将来的に賃金が増える見込み」が見込みにくくなり、消費金額が増えないのです。
そして、その状態のまま18年も続いているのです。

これらの要因は、体質的なものであり、長期的な取り組みを必要とします。本当にデフレから脱却したいのであれば、長期的に体質改善に取り組まなければなりません。
しかし、国は短期的な経済施策で乗り切ろうとして、失敗ばかりしています。 日本のデフレ脱却は、「短期的な経済施策ではデフレは克服できない」と認識することから始めなければなりません。

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