アベノミクスの失敗は、イギリスのEU離脱決定とは関係ない

確認しておかねばならないことがあります。
アベノミクスはイギリスのEU離脱決定とは全く関係なく、失敗したという事実です。

デフレ脱却をする言いながら、未だデフレ脱却できていません。
GDPも景気回復と言える数字ではありません。
アベノミクスで良くなっている指標の一つに株価がありますが、6月23日の日経平均の終値が、16,238.35 円と決して良い数字ではありません。
しかも、その数字は、イギリスがEU離脱決定をしないだろうと、多くの市場関係者が予想していた時のものです。
だからこそ、イギリスのEU離脱決定を受けて、金融市場は神経質な動きをしています。

なぜ、そんなことをわざわざ書くのでしょうか?
それは、いつの間にか、アベノミクスの失敗を全部イギリスのEU離脱決定に押しつけかねないと考えるからです。それで足りなければ、熊本地震も加えられるかも知れません。

この動きは、自民党の人々に限らないです。アベノミクスが成功すると煽った経済学者やマスコミも、そう言いかねません。そうすることで、自分がアベノミクスは成功すると主張した失敗を覆い隠すことができるからです。

私は今でも覚えています。アベノミクスが始まったころの熱気です。大きな書店になると、経済書を集めてアベノミクスコーナーが設置されていて、多くの経済本が売れました。
アベノミクスは必ず失敗すると認識していた私は、今は黙っておこう、と恐れを抱いてしまったぐらいです。
この時にアベノミクス成功を予測した経済学者は、失敗を押しつける事変を恋い焦がれているに違いありません。

往々にして、自民党に限らず、経済学者やマスコミはそのような動きをします。経済がうまくいかなくなった理由をわかりやすい事変のせいにします。
過去、橋本政権の消費税増税を経済失政と言い放ちました。確かに、橋本政権時に景気が後退しました。自民党国会議員の多く、経済学者、マスコミは橋本氏を責めました。
経済はそんなに簡単なものなのでしようか?

当時の景気後退の本質は、後から詳しく書きたいと思いますが、他にあります。(実は、これはとても重要な内容なのですが、ここでは触れません。)

日本経済の変質のスイッチを押したのが、消費税増税だっただけです。それが無くても、何か別の事象がスイッチになったはずです。

もし、税率を3%から5%へ、たかだか2%上げただけでデフレになったのであれば、それくらい消費税の影響が大きいのであれば、廃止してしまえば、とてつもない景気対策になってしまうのではないか、と思えるぐらいです。
話題になっているので、例としてイギリスを挙げます。付加価値税(日本の消費税と同様の間接税)は、別に軽減税率はありますが、標準税率は20%です。(欧州の付加価値税 その現状と将来 よりhttp://eumag.jp/feature/b0515/)
間接税が高い税率である欧州などでは良く経済がもっているということになります。
そう思いませんか?

経済はそんな単純なものではありません。
今回もそのような動きになりかねないことに不安を覚えています。

もちろん、アベノミクスが失敗であることを認識したからと言って、7月10日の参議院議員選挙で野党に投票を促しているわけではありません。
普通なら、野党への投票を促している以外の何だというのだ、と言われて当然の内容ですが、なにせ野党が経済政策の対案を持っていません。
さらに、民進党に対して、民主党時代の経済政策の無策を考える時、民進党に入れたくないという気持ちも理解できます。
まして、大きな経済的危機に遭遇している時です。

私の主張はただ一点、「アベノミクスの失敗はイギリスのEU離脱決定とは関係ない」ということだけです。
そして、アベノミクスの失敗をイギリスのEU離脱決定のせいにする動きに注意して欲しいだけです。
それは事実を曲げてしまい、将来を誤った目で見てしまうことに繋がるからです。そうなれば、日本に未来はありません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました